以前、PHPには「ネクスト」と呼ばれるものが存在していた。
それは、結局なんだったのだろう。
ではまず、概況から見てみよう。
流行っていた頃の流行語紹介では、ちゃんこフォンデュさんがこのように書いている。
・ネクスト
よくわからないがプリンくんがいいだした次世代のボケ
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この「よくわからないが」がポイントだ。
ネクストは、よくわからないが最先端のものとされ、
よくわからないが評価されたり、めたくたに非難されたりした。
流行語ノミネートは2010年上半期なので、このころ流行したと思われる。
実際、それくらいしか確定している情報はない。
正直言って、なぜ流行ったのかも謎のままだ。
とはいえ、振り返ってみてわかることもある。
今さらながらネクストについて考えてみようではないか。
もっとも、私は発案者の言葉を直接聞いているわけではない。
したがって、これから私が述べることは、
彼が定義したかったものとは全く違うものであるかもしれない。
その点、ご了承いただきたい。
さて、前段として、先の記事で書いたボケ投稿における行動段階をみてみよう。
1 お題を見る
2 お題を解釈する
3 イメージを思い浮かべる
4 イメージを書き表す
5 ボケを調整する
6 投稿する
これが、一般的な行動段階だ。
では、いよいよネクストについて考える。
私の考えるネクストの行動段階は、こうだ。
1 お題を見る
2 お題を解釈する
3 なんでもいいから書き表す
4 ボケを調整する
5 投稿する
ご覧のように、イメージ、発想の段階が欠落している。
つまり、私の考えるネクストとは
「字面のみに頼ったボケ」だ。
さて、書いてみたはいいものの、こんなことはありえるのだろうか。
大喜利は、なんらかの発想をボケとして書き表すものであったはずだ。
イメージが欠落したままでボケることなど、本当にできるのだろうか。
その答えは、意外と身近なところに隠されている。
どこかといえば、このお題だ。
お題:「○○に似た響きの言葉」
このお題は、与えられた言葉と発音やリズムが似かよった言葉を提出するものだ。
さて、ご承知の通りだ。
我々は既に、イメージに依らず文字列からボケを書き出すことをした経験があるのだ。
はっきり言えば、イメージが欠落したままでボケることは、可能だ。
実際の状況でネクストを使いこなしている人は、おそらく今現在も存在している。
それは、
・思いついた場所&思いついた動詞
・思いついた擬音語&思いついたモノ
などのパターンで実行されているのだろう。
ネクストは、発表直後から多くの批判を浴びた。
それは、上に示したように、発想の段階が欠如していたからではなかったか。
ネクストは、イメージ段階を削ったボケ思考のことである。
それらは、発想に頼らず、字面から生み出されていく。
これが、私の出した結論だ。
もっとも、私はネクスト自体を非難するつもりはない。
それにはそれのよさがあるだろうし、
非難することで先述の「似た響きお題」をも無下にする危険性が生じてくる。
だがしかし、大喜利として票を投じる場合に、それで本当にいいのか?という疑問は出てくる。
「お題に沿って回答する」のが本来の大喜利の姿であり、
おもしろい行為に投票するのは、あくまで副次的な楽しみ方ではなかったか。
回答者が投票者の「善意の誤読」を期待しているのであれば論外だ。
解釈に委ねる、といえば聞こえはいいが、
それは結局、お題と向き合い他者に自分のイメージを伝える、という行為から逃避した姿勢だ。
そう考えれば、少なくとも私がここで示したネクストは、非難を浴びてしかるべきものだったのかもしれない。
と、ここまでかいて、「懐かしすぎて誰も覚えてないだろこれ」と感じました。おわり。
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